
トイレタンクの中の黒ずみや、便器のフチ裏の汚れが気になっている方に向けて、掃除してよい範囲と使える洗剤を解説します。タンクの中は、TOTOが基本的に自分での清掃をすすめておらず、LIXILは手順を公開しつつ、中フタ(樹脂カバー)のあるタンクではお客さま自身での開閉を推奨していないなど、メーカーで線引きが違います。本記事では、札幌のハウスクリーニング専門店・おそうじハウス札幌が、メーカー公開の情報をもとに整理します。
最初に確かめたいのは「開けてよいタンクか」
トイレタンクの掃除というと、ふたを外して中をこする様子を思い浮かべる方が多いかもしれません。ただ、その前に確認しておきたいのが、ご自宅のタンクがそもそも開けてよい種類かどうかです。
▶ 電気部品が入っているタンクは開けない
TOTOは、タンク内の掃除方法に関するよくあるご質問の中で、ウォシュレット一体形便器はウォシュレット機能部とタンクが一体となった構造のため、お客様がタンク内を開けてお手入れすることはできない、と説明しています。あわせて、一体形のタンク部には電気部品があるため、タンクを開けないよう注意しています。
LIXILも、よくあるお問い合わせ「トイレタンクの中フタ(内フタ)を開ける方法」で、近年のトイレのタンクの内部には水の勢いや流す量を制御する多数の部品があり、清掃時に破損させたり水位の設定を狂わせたりするリスクがあるため、一般のお客さまによる中フタ(樹脂カバー)の開閉作業は推奨していない、と説明しています。水漏れなどの不具合がある場合は、無理に作業せず設備業者か同社の修理受付センターへ依頼するよう案内しています。見た目は同じタンクでも、中に電気部品が入っていたり、開けないよう案内されているカバーがあったりする製品があるということです。取扱説明書でふたの外し方が確かめられなければ、開けないのが出発点です。
▶ ふたは「持ち上げるだけ」で外れるとは限らない
一般的な陶器のタンクでも、ふたの扱いには注意が要ります。TOTOは「トイレのしくみ」のページで、手洗付タンクには持ち上げるだけで外れるタイプと、手洗金具とボールタップがじゃばら管で接続されていて持ち上げるだけでは外れないタイプがあると説明しています。後者は、ふたを起こしてから、じゃばら管の接続部分のナットを手で左に回して外す手順です。同社は、タンクのふたを落とすと破損してけがをするおそれがあるとも注意しています。ふたを外すのは、止水栓を閉め、レバー(ハンドル)でタンクの水を流してからにします(TOTOが便器・タンクのお手入れのページで示す手洗器の手順も、LIXILのタンクの中の手順も、この順番です)。そのうえで力任せに引き上げず、まず横からのぞいて、管がつながっていないかを確かめてください。
タンクの中の掃除は、TOTOとLIXILで案内の強さが違う
ここが今回いちばんお伝えしたいところです。開けられるタイプのタンクでも、中の掃除についての案内はメーカーによって温度差があります。
▶ TOTO:基本的にはおすすめしていない
TOTOは、タンク内に黒いカビや汚れが発生した場合の掃除方法を尋ねる質問に対し、「タンクの内部は、基本的にお客様ご自身での清掃・お手入れはおすすめしておりません。」と回答しています。理由として、タンク内部にはさまざまな部品があり誤って触れるとけがをする可能性があること、水を出したり止めたりする部品の調整が狂うと水が止まらなくなったり出なくなったりする可能性があること、プラスチック部品が多く使う洗剤によっては内部部品が腐食する可能性があることを挙げています。
そのうえで、やむを得ず清掃する場合の注意として、ゴム手袋を使うこと、水や汚れが飛び散るため壁や床を養生すること、ボールタップ・レバーハンドル・排水弁などの部品に極力触れないこと、中性の食器用洗剤を極少量使って柔らかいスポンジなどで汚れた部分を軽く拭く程度にとどめ、清掃後は洗剤成分を完全に洗い流すこと、を示しています。さらに、中性洗剤以外の洗剤は絶対に使用しないよう求め、酸性・アルカリ性洗剤や漂白剤は内部部品を劣化させ、故障や漏水などの事故につながる可能性があるとしています。
同社は、汚れの種類や程度によって掃除の仕方は異なり、完全にきれいにすることは困難で、カビや菌は水中・空気中に存在するため再発を防止することも不可能だ、とも書き添えています。どうしても気になる場合は、グループのメンテナンス会社による有料のクリーニングに相談するよう案内しています。「一度しっかり掃除すれば二度と黒くならない」という場所ではない、ということです。
▶ LIXIL:手順は中性洗剤の湿布。ただし中フタは開けない
LIXILは、タンクの定期的なお手入れのページで、タンクの中の汚れを落とす手順を公開しています。止水栓を閉め、洗浄ハンドルを回してタンクの中の水を流し、水が抜けたらフタを外します。中フタがある商品については先ほどのQ&Aを見るよう案内しており、そのQ&Aでは一般のお客さまによる中フタの開閉を推奨していません。そのうえで、トイレ用中性洗剤を布などにしみ込ませて汚れの部分に湿布をするように張り、しばらく置いてから布を取り、洗剤が残らないよう水ぶきする、という流れです。汚れがひどい場合はスポンジなどでこすり、洗剤が残らないよう洗い落とすとしています。終わったらフタを閉め、止水栓を開けて元に戻します。
注意点として、タンクの内部金具にトイレ用中性洗剤が付かないようにすること、タンク内側に発泡防露層がある場合は表面にキズが付かないようにすること、酸性・アルカリ性洗剤はタンク内部の樹脂製やゴム製の器具を傷め、止水不良などの不具合や水漏れにつながる恐れがあるので使用しないことを挙げ、しつこい汚れは除去できない場合もあると添えています。
並べると、TOTOは基本的におすすめせず、やむを得ない場合も軽く拭く程度、LIXILは手順を公開しているものの、中フタのある近年のタンクではお客さま自身での開閉を推奨せず、手順も中性洗剤の湿布という違いがあります。一方で、中性洗剤以外を使わないこと、部品にはできるだけ触れず洗剤も付けないこと(TOTOは部品に極力触れない、LIXILは内部金具に洗剤を付けない)は両社に共通しています。まずはお使いのトイレのメーカーと取扱説明書を確認し、その範囲で作業するのが確実です。
使える洗剤は「場所」で変わる。タンクの中は中性だけ
トイレ掃除の情報では、便器用の酸性洗剤や、油汚れにも使われるアルカリ性の洗剤が紹介されることがあります。ただ、同じトイレの中でも、場所によって使える洗剤は変わります。
LIXILは、便器・便座のお手入れに酸性・アルカリ性の洗剤を使えるかというよくあるお問い合わせで、使える洗剤を場所ごとに表で示しています。内容をまとめると次のとおりです。
| 液性 | タンク外部・便器(陶器部) | タンク内部 | 便座・機能部 |
| 酸性 | 〇 | × | × |
| 弱酸性 | 〇 | × | 〇 |
| 中性 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 弱アルカリ性 | 〇 | × | 〇 |
| アルカリ性 | × | × | × |
※LIXILのよくあるお問い合わせ掲載の表をもとに作成。同社はタンク内部と便座・機能部を「樹脂部分」に分類しています。
表のとおり、LIXILの案内ではタンク内部で〇がつくのは中性だけです。同じQ&Aでは、市販の研磨剤やクレンザーは陶器の表面を傷める恐れがあるので使用しないこと、便器の掃除に酸性洗剤を使う場合は便座・便フタを開けて十分に換気し、継続的な使用は控えること(洗剤から気化したガスでシャワートイレの内部部品が故障する原因になるため)も案内しています。
▶ 便器に使える洗剤の幅は、メーカーで違う
一方、TOTOは便器・タンクのお手入れのページで、便器について「市販の家庭用洗剤であれば、酸性・中性・アルカリ性を問わずご使用になれますが、研磨剤入り洗剤や業務用強酸性・強アルカリ性洗剤には、陶器表面を傷つけたり、侵したりするものがありますので、使用しないでください。」としています。便座がウォシュレットの場合は、早め(3分以内)に洗い流し、便座・便ふたは開けたままにしておくこと、便器についた洗剤は確実にふき取ることも求めています。そして同じページで、タンクふたやタンク内部の掃除には酸性・アルカリ性洗剤を使用しない、と明記しています。
便器の陶器部分に使える洗剤の幅はメーカーによって案内が異なりますが、タンクの中には酸性もアルカリ性も持ち込まないという点は、TOTO・LIXILとも同じです。キッチンの油汚れで活躍するアルカリ電解水やセスキ炭酸ソーダも、アルカリ性・弱アルカリ性の洗浄剤で、上のLIXILの表ではタンク内部はどちらも×です。性質の違いはアルカリ電解水とセスキの違いでまとめていますが、トイレタンクの中には使わないようご注意ください。
置き型の洗浄剤と、手洗いの石けんにも注意
タンクの手洗い部分に置いて、流すたびに便器をきれいにするタイプの芳香洗浄剤は、手軽さから使っているご家庭も多いと思います。ここはメーカーの案内が比較的はっきりしている部分です。
TOTOは、タンクの手洗い鉢に芳香洗浄剤などを置いてもよいかという質問に対し、「TOTOとしては下記理由で芳香洗浄剤などの使用はおすすめしません。」と回答し、内部器具を傷め、止水不良などの不具合や水漏れして家財などをぬらす財産損害が発生するおそれがある、と理由を示しています。芳香洗浄剤の成分は各社で把握が難しいため、使用については洗浄芳香剤のメーカーに問い合わせるよう案内しています。
LIXILも、トイレタンクに芳香洗浄剤や手洗い用の石けんを使えるかという質問で、手洗い付きタンクでの芳香洗浄剤や石けんの使用は、製品の故障や変色につながる恐れがあるためおすすめしておらず、原則として控えるよう回答しています。タンクの上や内部に置くタイプの芳香洗浄剤については、成分が多種多様でタンク内部の精密部品に悪影響を及ぼす可能性があること、手洗い付きタンクのフタの上に置くタイプでは、素材(樹脂製など)によっては芳香剤の色素が付着して取れなくなる場合があることを挙げています。
▶ 手洗いで石けんを使うと、タンクの中に入る
見落としやすいのが石けんです。LIXILは同じ回答の中で、手洗い付きタンクの水で手を洗う際、流れた石けん成分がタンク内部に入り込むと、ボールタップやフロート弁などの内部部品の劣化や固着を引き起こし、水が止まらなくなる(止水不良)などの重大な故障の原因になる、と説明しています。なお、手洗い水がタンクを経由せず便器や排水管へ直接流れるタイプは、石けんを使っても問題ないとしています。手洗い付きタンクでは石けんを使わず、石けんで洗いたいときは洗面所で洗うようにしましょう。
また、TOTOは、同社のタンク(SH系)でボールタップにかぶせているカバーについて、製品保護のため外さないよう案内しています。万が一、薬品や洗剤、芳香洗浄剤などを含んだ水がかかって器具を傷めないように付けている、という説明です。タンクの中を掃除するときに邪魔に見えても、カバーは付けたままにしておきましょう。
▶ 手洗い鉢の汚れは「タンクに流さない」掃除で
手洗い鉢そのものの汚れは、タンクの中に洗剤を入れない形で落とします。LIXILは、タンク全体を水ぶきし、汚れが目立つ場合は陶器製ならトイレ用中性洗剤でふき取る手順を示したうえで、「トイレ用洗剤がタンクの中に入ると故障の原因になりますので、水で流さずふき取ってください。」と注意しています。プラスチック製の手洗鉢の黒ずみについては、ふき取っても取れない場合に、手洗鉢の排水口を布などでふさぎ、消しゴムでこする方法を紹介しています(砂消しゴムは使えないとしています)。
手洗器にピンク色のスジ状の汚れがつくこともあります。TOTOは、ピンクや赤いスジ状の汚れはバクテリアによるもので、市販の中性洗剤で清掃し、1回の清掃では再び繁殖するのでこまめに手入れするよう案内しています。タンクの上の手洗い鉢なら、上のLIXILの案内のとおり、洗剤は水で流さずふき取りましょう。
札幌市水道局への届け出では、水抜き栓の次に多い修理がトイレのボールタップ
タンクの中の部品のうち、札幌で意識しておきたいのがボールタップです。タンクの水位に合わせて給水を始めたり止めたりする部品で、TOTOは、タンクの水が少なくなるとボールタップの浮玉も下がって給水が始まり、水位の上昇とともに浮玉が上がってバルブが閉まり、給水が止まるしくみだと説明しています。
札幌市水道局は「給水装置の維持管理をお願いします」のページで、同局へ届けられた修理内容の内訳(令和2年度)を公表しています。それによると、水抜き栓に関するものが82%、トイレのボールタップが11%、その他(屋内配管、ボイラーなど)が7%でした。水抜き栓に次いで挙がっているのが、トイレタンクの中の部品ということになります。
タンクの中を掃除するときに部品へ洗剤をかけない、むやみに触らないというメーカーの注意は、こうした部品を傷めないためのものです。
なお、使っていないのに便器の中にチョロチョロと水が流れ続けることがあります。LIXILは「自分で解決 トイレのトラブル」のページで、この症状の原因として、タンク内の水位の調整ができていないこと、凍結防止のための水が流れていること(凍結防止の設定がある機種)、フロートゴム玉やフラッパー弁の劣化・摩耗を挙げ、それぞれの確認方法を案内しています。いずれも掃除で直るものではないので、取扱説明書やメーカーの案内で確認してください。
▶ 水抜きでは、タンクの中も空にする
札幌の冬に欠かせない水抜きでも、トイレタンクは手順に含まれています。札幌市水道局は、水洗トイレの水抜きとして、水抜き栓のレバーを「止」の方向へ操作し(ハンドルの場合は右に止まるまで回す)、タンクにある排水ハンドルを「大」の方向へ回してタンクの中を空にする手順を案内しています。便器内の凍結にも注意し、水をくみ出す、不凍液を入れるなどの凍結防止措置を行うよう呼びかけています。
同局は、水抜き栓は冬になる前に点検するよう呼びかけてもいます。本格的な冬を迎える前に、水抜きの手順を一度確かめておくと安心です。そのとき、使っていないのに便器へ水が流れ続けていないかも見ておきましょう。凍結防止のために意図して水を流している機種もあるので、設定を変える前に取扱説明書で確かめ、部品の不具合が疑われるときはメーカーの修理窓口などに相談してください。
便器のフチ裏は、中性洗剤とブラシの届け方で決まる
タンクの中とは反対に、便器のフチ裏はこまめに掃除してよい場所です。そして、汚れがたまりやすい場所でもあります。TOTOは、フチ裏について、飛び散った汚物が付着してとくに汚れがたまりやすいところで、洗い残しがあるとガンコな黄ばみや黒ずみになってしまう、と説明しています。
▶ TOTOの手順:ブラシ→布→水拭き
TOTOが便器・タンクのお手入れのページで示している手順は、次の3つです。まず、トイレ用中性洗剤をトイレ用ブラシにつけ、内側・フチ裏をこすり洗いします。フチ裏に届きにくいブラシの場合は、靴用ブラシで傷つけないようにやさしく洗います。次に、柔らかい布にトイレ用中性洗剤をつけてフチの内側を拭き、最後に水で濡らして十分に絞った布で洗剤成分を拭き取ります。ふだんのお手入れでも「フチ裏も忘れずにこすりましょう」と呼びかけています。
▶ LIXILの手順:歯ブラシを突っ込むように
LIXILは、便器のふちの裏側の汚れを落とす手入れを週1回の目安で紹介しています。歯ブラシにトイレ用中性洗剤をつけ、便器のふちの裏側(リム部分)に歯ブラシを突っ込むようにしてこすり、汚れが落ちたらこすりながら水を流してすすぐ、という手順です。
ただし同社は、表面に防汚のための加工がされた一部の仕様の便器については、強いアルカリ性の洗剤または漂白剤、研磨材入りの洗剤、フッ素系洗剤、撥水作用などがある洗剤や表面コート剤、金属製や研磨材入りのブラシなど表面を傷つける掃除道具を使わないよう注意しています。ご自宅の便器がどの仕様かは、取扱説明書などで確認してください。
▶ 金属入りのブラシと、洗剤の混ぜ合わせに注意
道具選びでは、TOTOが、針金や釘・ネジなど金属を使っているブラシを使うと、金属が陶器と接触した際にスジ状の汚れが付着する場合がある、と注意しています。フチ裏は奥まっていてブラシの柄が当たりやすい場所なので、金属部分が陶器に触れないものを選んでください。
洗剤の組み合わせにも気をつけます。LIXILはトイレのお手入れのご注意事項で、塩素系の洗剤・洗浄剤と酸性タイプの洗剤・洗浄剤を混ぜて使用しないよう求め、「有毒な塩素ガスが発生します。(同時使用および前後の使用でも塩素ガスが発生します。)」と注意しています。混ぜなくても、続けて使う(前後の使用)だけで危険がある、という点は覚えておいてください。
フチ裏の黄ばみが固くこびりついて、中性洗剤でこすっても落ちない場合は、尿石になっている可能性があります。尿石の落とし方はトイレの黄ばみ・尿石の落とし方で詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。
タンクの中は「触りすぎない」、フチ裏は「こまめに」
トイレタンクの中と便器のフチ裏の掃除で押さえることは3つです。タンクの中は、メーカーが自分での掃除を基本的にすすめていない(TOTO)か、中フタ(樹脂カバー)の開閉を推奨していない(LIXIL)場所で、触る場合も中性洗剤で部品を避けて軽く。置き型の芳香洗浄剤はTOTO・LIXILとも、手洗い付きタンクでの石けんはLIXILが、すすめていないこと。そしてフチ裏は中性洗剤とブラシで、汚れがたまる前にこまめに。同じトイレの中でも、手をかけるほどよい場所と、触りすぎないほうがよい場所がはっきり分かれています。退去前など、トイレ全体をまとめて見直したいときは退去前の掃除で敷金を守る|場所別ハウスクリーニングチェックリストも参考になります。
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